「吹けるん」を使いこなすための秘密の鍵
オカリナに吹き入れる息の量を徐々に少なくしていく(息を弱くしていく)と、徐々に音が小さくなると同時に、ピッチもそれにしたがって下がっていきます。そしてあるところまでいくと、「音がひっくり返ったように」元のピッチに戻ります。これが、オカリナに元々備わっている「裏音」です。
下のグラフをご覧ください。
グラフ上部の青い枠の中の水色の帯は「オカリナの音量」を表しています。その下の黄色の線は、「音程(ピッチ)」を表しています。白い線は、半音ごとに区切った線です。
若干わかりにくいかもしれませんが、オカリナの音量を下げていくと(水色の帯の幅が右に向かって細くなっていきます)、それにつれて、黄色の線で表すピッチが徐々に下がっていきます。そしてあるポイント(グラフの真ん中あたり)で一気にほぼ元のピッチに戻っていますね(実際にアプリを使ってその時の音を拾って計測したものなので、多少の誤差はあります)。戻った時点からそれ以降に聞こえる音こそが「裏音」で、音量も小さくなっています。
一定の品質を保ったオカリナであれば、オカリナの物理として、全ての音程でこの現象が起こります。言い換えれば、「裏音」を出すことで、「音階が明確に認識できる小さな音」でオカリナを吹くことができるということです。
これならば、「時と場所を選ばす、周囲に気兼ねすることなく、オカリナを吹きたい」というニーズにお応えできそうです。
ところが・・・
この「裏音」を出すには、針の穴に糸を通すのと同じくらい、とても「繊細な息」をオカリナに吹き入れなければなりません。これには、「横隔膜でしっかりと息を維持しコントロールする」必要があり、まだオカリナを始めたばかりの方、指使いを練習している段階なので息のコントロールまではまだ気が回らない方等、オカリナを吹く方のスキルレベルによってはかなりハードルの高い条件をクリアしなければなりません。
そこでオカリナ奏者みるとは、誰にでも手軽にお使いいただける「オカリナに入る息の量を調節することで、弱音効果を得る」装置、つまり、このハードルの高い条件をクリアして、ある程度「裏音」を出しやすくする装置を作ろうと思い立ったのです。
これが「吹けるん」を形にしようと思い立ったきっかけでした。
そして、この「裏音」こそが、「吹けるん」を使いこなす秘密の鍵なのです。